水っぽい春の月
吉川英治 / 無宿人国記 ページ位置:36% 作品を確認(青空文庫)
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春の夕方・夜
月
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前後の文章を含んだ引用
......、彼の前にちらついた。 「はてな、俺は恋を? ……」 一度思った女は、きっと、命がけでも取ってきた一角の経験と興味が、また、春と一緒に、胸の中に、頭を擡 げだした。水っぽい春の月――風のぬるい春の晩が――妙に彼の血を駆り立てた。 だが、恋はしても、恋には悩まない一角だった。いや、悩んでいる時間すら持たない男だった。押 というか、自信という......
単語の意味
春の月(はるのつき)
春の月・・・春の、いくらかボンヤリとしてほのぼのした風情の月。
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春の夕方・夜の表現・描写・類語(春のカテゴリ)の一覧 ランダム5
昼のうちむれていたアスファルトから生温かい風が吹いている或る晩
小林多喜二 / 党生活者
春先の夕暮れ特有の郷愁をはらんだざわめき
森 瑤子 / 傷 amazon
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月の表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(昼の月)ビルの上にうす青い空があり、白い透き通った半月形の月が浮かんでいた。
向田邦子 / 大根の月「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
切り 貼ったような満月
浅田次郎 / オリヲン座からの招待状「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
剃刀の尖(さき)ででも切ッたような薄い月
小杉 天外 / 初すがた amazon
ススキの野原の上に黙して浮かび、穏やかな湖面に白い丸皿となって漂い、寝静まった家屋の屋根を密やかに照らすあの月だ。満ち潮をひたむきに砂浜に寄せ、獣たちの毛を柔らかく光らせ、夜の旅人を包み護るあの月だ。ときには鋭利な三日月となって魂の皮膚を削ぎ、新月となって暗い孤絶のしずくを地表に音もなく滴らせる、あのいつもの月だ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
赤銅のような色をした光芒のない大きい月
田山 花袋 / 蒲団 amazon
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「空・中空」カテゴリからランダム5
澄みきった空が、生絹(すずし)のようなちぎれ雲を高く浮かべる
落合 恵子 / センチメンタル・シティ amazon
どんよりと垂れこめた雨雲の下に、墨絵のような風景が展(ひら)ける
外村 繁 / 筏 amazon
「春」カテゴリからランダム5
ふっと目を閉じたくなるほど、強く、甘く、大気が花の香りで満ちている春
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
桜が咲き始める季節だった。ぬくもりを帯びた風が頰を撫でていった。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(桜の花びらは)くるくる舞いながら、または子供の頬に涙がころげ落ちるように、無造作に落下していた。
富岡 多恵子 / 花「富岡多恵子集〈3〉小説(2)」に収録 amazon
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