堤の上を冷たい風が吹いて行く。
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:2% 作品を確認(青空文庫)
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土手・堤防
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......のかと父が聞いていた。二人共鮮人であった。折尾まで行くのだから、金を貸してくれと何度も頭をさげた。父は沈黙 って五十銭銀貨を二枚出すと、一人ずつに握らせてやった。堤の上を冷たい風が吹いて行く。茫々とした二人の鮮人の頭の上に星が光っていて、妙にガクガク私たちは慄 えていたが、二人共一円もらうと、私達の車の後を押して長い事沈黙って町までついて来た。 しばら......
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