彼は大きな鉄砲丸（てっぽうだま）を飲み下（くだ）したごとく、腹の中にいかんともすべからざる塊（かた）まりを抱（いだ）いて、この両三日（りょうさんち）処置に窮している。その切なさの余り、別に分別の出所（でどころ）もないから監督と名のつく先生のところへ出向いたら、どうか助けてくれるだろうと思って、いやな人の家（うち）へ大きな頭を下げにまかり越したのである。

真夜中に電話をかけてくるのはお願いだからやめてほしいと、はっきり頼んだ。収穫前にイナゴの群れを畑に送りつけないでくれと、神さまにお願いする農夫のように。

気の強い彼女に責められて落ち込んで帰ってきたとき、やわらかいタオルを差し出すマネージャーのようなアキヨさん

ふいと折れ崩れるように縋（すが）って来て

まるで教会で神父さんに出会った信者みたいな顔で、白羽さんに縋るように立ち上がった。

社会的な仮面をつける

野火はいつか衰え、薄い煙が湯気のように、一面に騰っている

口から出任（でまか）せに喋舌（しゃべ）り立てる。

頑固（がんこ）に首を振って

本心を偽って、さもうれしそうな顔をする