二度めの雪が降りはじめた。べっとりと湿ったみぞれが確かな氷片に変り、そして不透明な雪になった。最初のさらりとした雪とは違って、今度のは体にまつわりつくような嫌な雪だった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:89% 作品を確認(amazon)
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雪
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前後の文章を含んだ引用
......った。9 鏡に映るもの・鏡に映らないもの 十日めの朝、僕は全てを忘れることにした。失われるべきものは既に失われてしまったのだ。 その朝ランニングをしている最中に二度めの雪が降りはじめた。べっとりと湿ったみぞれが確かな氷片に変り、そして不透明な雪になった。最初のさらりとした雪とは違って、今度のは体にまつわりつくような嫌な雪だった。僕は途中でランニングをあきらめて家に戻り、風呂を沸かした。風呂が沸くまでずっとストーブの前に座っていたが、体は暖まらなかった。湿っぽい冷気が体の芯にまでたっぷり......
単語の意味
氷片(ひょうへん)
体(からだ)
氷片・・・氷の破片。氷のカケラ。
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
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雪の表現・描写・類語(雪・霜・あられのカテゴリ)の一覧 ランダム5
車は、あたらしい雪の降り積む道を、滑り止めの鎖をぱりぱり鳴らしながら走った
三浦哲郎 / 忍ぶ川 amazon
砂塵のように、雪が人気のないホームに幾重もの襞(ひだ)となって流れている
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
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「雪・霜・あられ」カテゴリからランダム5
午後になってまた降り出した雪が、ボタ山の影をおぼろに隠すほど 繁くなった。
浅田次郎 / 鉄道員(ぽっぽや)「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
(雪の積もった階段)砂糖菓子を崩すようにそろそろと、一段めに積もった雪を踏んだ。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
無理にこじ開けられた痛々しい傷跡のような赤土をいたわるように、所々を薄い雪がおおう
干刈あがた / 月曜日の兄弟たち「干刈あがたの世界〈2〉ウホッホ探険隊」に収録 amazon
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