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性の悪い牡蠣 のごとく書斎に吸い付いて、かつて外界に向って口を開 いた事がない。
夏目漱石 / 吾輩は猫である ページ位置:4% 作品を確認(青空文庫)
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引きこもり生活・閉じこもり生活
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前後の文章を含んだ引用
......らなおさらむずかしい。またいわんや同情に乏しい吾輩の主人のごときは、相互を残りなく解するというが愛の第一義であるということすら分らない男なのだから仕方がない。彼は性の悪い牡蠣 のごとく書斎に吸い付いて、かつて外界に向って口を開 いた事がない。それで自分だけはすこぶる達観したような面構 をしているのはちょっとおかしい。達観しない証拠には現に吾輩の肖像が眼の前にあるのに少しも悟った様子もなく今年は征露の第......
単語の意味
牡蠣(かき)
牡蠣・・・イタボガキ科の二枚貝の総称。貝殻は白い灰色で、細長い卵形。浅い海の岩に付く。食用として、真牡蠣(まがき)を中心に養殖されている。オイスター。
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三日も四日も家に引きこもっていたりすると、知らず知らず、日に二、三度も着物を着替えたりすることがある。これも単調な時間のながれに何とかして変化をもたせ、気分を引きたてて小説を書こうとしているからなのであろう。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
交通遮断 の孤島か、障壁で高く囲まれた美しい牢獄 に閉じこもっていたような二人
有島武郎 / 或る女
ずうっと、安全な室内にいると、人間は家に同化して家具のようになってしまう。 町でよく見かける、外にいるのに服装も顔も室内のままな人。のっぺりして反応が鈍く、人の目を見ない、ゆるみきった人。野性を忘れてしまった目をしている。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
「殻に閉じこもるのは良くない」と以前に成瀬が一度言ったことがあるらしいが、すると田中は、「違うんだよ」と怒ったという。「僕が世界を閉じ込めているわけ。僕の部屋の壁が世界を囲んでいるんだよ。閉じ込められているのは、僕以外の全員で、外にいるのは僕だけってわけ」
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
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(心中を図る男女)私と雄一は、時折漆黒の闇の中で細いはしごの高みに登りつめて、一緒に地獄のカマをのぞき込むことがある。目まいがするほどの熱気を顔に受けて、真っ赤に泡立つ火の海が煮えたぎっているのを見つめる。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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