何処でも町のあるところには必ず川が通っていた。

水羊羹（みずようかん）のように真っ黒い川

川の流れは浅いけれども速いから、神経質の水のようにやたら光る

扇（おうぎ）形に開く河口

川の流れがゆるぎ、糸を捌くがごとく真っ白に翻る

さざ波が星を呼び出すように、海一面に角立っている。

行潦（みづたまり）も、つめたく、青空を映したまま、この冬の午後を、何時かそれなり凍つてしまふかと疑はれる。

ほとんど風のない午後。どこまでも拡がる水色の透明なビニールのようになった水面

海は、サンゴ礁の中とはいえ、あまり遠浅でなく泳ぎよかった。すき透った水は、まるでゼリーのように柔らかく優しく、下を見ると、きれいな魚が泳いでいた。海辺にねころんだり、本を読んだりしている人の中には、トップレスの女性も多かった。きれいな人は、美しさを誇るごとくだったが、ひどく太ったおばさんも、平気で裸になっていた。

渚 が白く弧を描いて、