ひどい番組しかやっていなかった。いろんな種類のつくりものの反吐を見せられているみたいな気がした。

テレビから色つきの色々の音が流れてくる

陳腐なテレビ番組

九十分ほどの短い映画

（天気予報）天気は明日から崩れるだろうと気象予報士が予言する

消すと吸い込まれるように暗くなったテレビの画面に、疲れた顔が映る

（映画「となりのトトロ」が持つ）まるで強力なパンチみたいななつかしさに打ちのめされて、私は目の前が暗くなりそうだった。 　もちろん、そう思っていたのは私だけだった。《…略…》だから私はその時、同じ場所で同じ映画を観て語り合っているのに、自分だけが徐々にシュールな異空間に分離してゆくような、おかしな感じを味わっていた。

終演後、ロビーは騒然とし、その相乗効果で、何か大変な名演を聴いた気がしていた人々は、やっぱりそうだったのかと自信を持った。

画面奥からの強い光源

（ありきたりなストーリーの退屈な映画）映画は当然すぎるほど当然な筋を辿って凡庸に進展していった。台詞も凡庸なら、音楽も凡庸だった。タイム・カプセルに入れて「凡庸」というラベルを貼って土に埋めてしまいたいくらいのものだった。