この、世界が空っぽになったような寥 しさ、何をしても――路を歩いても、読んでいても――すべてはただ彼に会うまで、時間をつぶす方便だという感じ、空気まで妙に稀薄になったような息苦しさ。
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:19% 作品を確認(青空文庫)
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寂しい
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前後の文章を含んだ引用
......りあげた。 伸子はしかし、やがてその抵抗力をも失った。彼女は、この心持は紛らそうとしても駄目なのを知った。 伸子は、自分が佃なしではやって行かれないのを知った。この、世界が空っぽになったような寥 しさ、何をしても――路を歩いても、読んでいても――すべてはただ彼に会うまで、時間をつぶす方便だという感じ、空気まで妙に稀薄になったような息苦しさ。佃でない誰がこれを救ってくれよう。彼は、自分がここで、このように彼に憧れ、切ない思いをしているのを知っているであろうか。 伸子の眼の前に、佃の顔が浮び上った。だ......
単語の意味
妙(みょう)
息苦しい(いきぐるしい)
妙・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
息苦しい・・・1.息をするのが苦しい。呼吸が苦しい。胸に圧迫感があって息が詰まるような感じである。
2.胸を圧迫されるような、重苦しい感じの雰囲気だ。緊張した空気が漂っていて、軽々しい言動などできそうもない雰囲気だ。
2.胸を圧迫されるような、重苦しい感じの雰囲気だ。緊張した空気が漂っていて、軽々しい言動などできそうもない雰囲気だ。
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