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耳が、ぴくっとそばだった。
吉川英治 / 雲霧閻魔帳 ページ位置:44% 作品を確認(青空文庫)
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聴く・耳を傾ける
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......っていないか。また彼女のかすかな寝息でも――と。  チャラ、チャラ……  また、ざらざらと、金の音だ。どこかで、金を数えているかすかな音である。  雲霧の耳が、ぴくっとそばだった。土蔵前の障子に、薄暗い燈芯とうしんがゆれている。そっとのぞいてみると、鼈甲べっこうぶちの眼鏡をかけた権内が、十畳の座敷いっぱいに金をならべて、その真ん中に、腕拱うでぐみをしているのだ......
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