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シャワーの立てる音の向こうから、いらっしゃいませという女性の声が聞こえてきて、はっと周りを見回す。もちろん浴室には自分以外だれもいない。いらっしゃいませのさざ波が自宅にまで押し寄せてくるようになると、いまが佳境なんだなとぼんやり分かる。
綿矢 りさ / かわいそうだね?「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 ページ位置:17% 作品を確認(amazon)
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忙しい、慌しい毎日
耳に残る・音声を覚えている
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前後の文章を含んだ引用
......なる。さらに言い過ぎると、〝いらっしゃいませって、そもそもなんだっけ?〟としゃべり言葉のゲシュタルト崩壊が起こる。 セール期間中に、夜お風呂で頭を洗っていると、シャワーの立てる音の向こうから、いらっしゃいませという女性の声が聞こえてきて、はっと周りを見回す。もちろん浴室には自分以外だれもいない。いらっしゃいませのさざ波が自宅にまで押し寄せてくるようになると、いまが佳境なんだなとぼんやり分かる。「セール期間は、ちゃんと店のクーラーが効いているのに、試着室の客が汗だくになって出てきてからが本番だ」と先輩が言っていて、たしかに客をそれくらい興奮させて、目を......
単語の意味
佳境(かきょう)
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忙しい、慌しい毎日の表現・描写・類語(人生のカテゴリ)の一覧 ランダム5
揺れる車から振り落とされないような必死さで、毎日を過ごしている。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
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耳に残る・音声を覚えているの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
震えて発せられたその言葉は、風に乗って入ってしまった羽虫のように、いつまでも嫌な感覚とともに耳の中に残った。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
ざわめきが、ぱたりと潮騒を聞かなくなった後の空虚のように耳もとに残る
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
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「記憶」カテゴリからランダム5
彼の言葉がきっかけになり、わたしの古い記憶もどんどんよみがえってきた。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
教えてもらったアドバイスの一つ一つが、耳の奥で回るオルゴールみたいに、繰り返し登場する
谷村 志穂 / ハウス amazon
(嫌な記憶)男は、いつも記憶の中で柔らかく彼女を包み込んだ。 しかし、時折、猫の腹に溜った毛玉のように胸やけを起させるものもあり、彼女は吐き出さなくてはならないほどだった。そういう時、彼女は、その男の隅々まで思い出し記憶の外に追いやるのだった。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
「人生」カテゴリからランダム5
素人の天文学狂が新星を見つけるように、たまたま
伊藤 整 / 氾濫 amazon
今はこれでいい気がする。でも同じところをぐるぐるまわっているようにも思える。《…略…》ときどきこうした迷路に入ると何もかもが遠く外側のことに思えて実感や喜びや苦痛が失われる。 私の悲しみも、私の美学も、箱庭の中で展開するだけだ。
吉本 ばなな / 大川端奇譚「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
みんながめいめいじぶんの神 さまがほんとうの神さまだというだろう、けれどもお互 いほかの神 さまを信 ずる人たちのしたことでも涙 がこぼれるだろう。それからぼくたちの心がいいとかわるいとか議論 するだろう。そして勝負 がつかないだろう。
宮沢賢治 / 銀河鉄道の夜
天上から地獄へ投げ落とされた堕天使のように堕落する
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
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