黄金色に輝く金箔の目を奪うほどきらびやかな仏堂

校舎と校舎の間に、きちんと四角い形の空が見えた。

縦に細長い鉄筋五階建て

オフィスとして使用される率が高く、あまり生活の匂いを感じないマンション

（ビルの）二つの建物の間に薄っぺらな夜が挟まっている。

煌々と明りがついたロビー

ヨーロッパの城のような邸宅

丘の上は一面の蜜柑（みかん）山、実のなったレモンの木が、何か少女時代の風景のようでとてもうれしかった。

初冬に入って間もないあたたかい日で、照るともなく照る底明るい光線のためかも知れない、この一劃（いっかく）だけ都会の麻痺（まひ）が除かれていて、しかもその冴（さ）え方は生々しくはなかった。

（古びた診療所）座っているだけで気分がふさいでくるような、古びた診療所だった。天井はくすみ、スリッパは垢が染みてぺたぺたし、壁に張られた離乳食教室や予防注射の案内はどれも黄ばんでいた。レントゲン室のランプだけが、ぼんやりと私たちを照らしていた。