黒玉といって、まったく殻をやぶらずに、そのまま、落ちてしまう例もある。黒玉を打ちあげたらば煙火師は土地にいられなかった。それほど絶大な恥辱としていた。
吉川英治 / 銀河まつり ページ位置:87% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
打ち上げ花火
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......――口火落しの大事なことはいうまでもない。技といおうかこつといおうか、ぽんと筒へ火を落すとたんの呼吸ひとつで、満天にひらく名花もだいなしに崩れることがある。また黒玉といって、まったく殻をやぶらずに、そのまま、落ちてしまう例もある。黒玉を打ちあげたらば煙火師は土地にいられなかった。それほど絶大な恥辱としていた。 さて! 七は、呼吸をはかって、火を筒に落した。 そして、サッと身を退 いた。――おどろくべき迅さで。 しゅッと、手もとの黄煙を突いて、細い火光がまっすぐに宙へ翔 ......
単語の意味
恥辱(ちじょく)
恥辱・・・名誉やプライドを傷つけること。恥。
ここに意味を表示
打ち上げ花火の表現・描写・類語(夏のカテゴリ)の一覧 ランダム5
沿道から夜空を見上げる人達の顔は、赤や青や緑など様々な色に光ったので、彼等を照らす本体が気になり、二度目の爆音が鳴った時、思わず後ろを振り返ると、幻のように鮮やかな花火が夜空一面に咲いて、残滓を煌めかせながら時間をかけて消えた。自然に沸き起こった歓声が終るのを待たず、今度は巨大な柳のような花火が暗闇に垂れ、細かい無数の火花が捻じれながら夜を灯し海に落ちて行くと、一際大きな歓声が上がった。
又吉 直樹 / 火花 amazon
人間が生み出した物の中では傑出した壮大さと美しさを持つ花火
又吉 直樹 / 火花 amazon
乾いた音が遠くに聞こえる。花火の空砲の音だ。夏祭りを告げる音だ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「夏」カテゴリからランダム5
梅雨に入って雨ばかり降っている。朝も夜もなく空は灰色に暗く沈んで、一日中部屋の明かりを消すことができない。雨の音は耳鳴りのように絶え間なく、頭の奥で響いている。本当に夏が近付いているのだろうかと、不安になるくらい冷たい雨だ。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
気の狂ったような暑さが爆発する
五木寛之 / 私刑の夏 【五木寛之ノベリスク】 amazon
ジリジリと音が聞こえそうな午後の陽光
阿久悠 / 瀬戸内少年野球団 amazon
「空・中空」カテゴリからランダム5
夏のような立派な雲の峰が東でむくむく盛りあがり
宮沢賢治 / 風の又三郎
今にも雪が降りそうだったが、まだ降り始めてはいなかった。雲はぴくりとも動かず、「ガリバー旅行記」に出てくる空に浮かぶ国みたいに、都市の頭上を重たく覆っていた。地上にある何もかもが灰色に染まって見えた。フォークもサラダもビールもみんな灰色に見えた。こういう日にはまともな事なんて何も思いつけない。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
髪束のように高い積雲が立ち
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
夏 の表現の一覧
空・中空 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ