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言いようのない幻滅とけだるさとを戸田は感じた。昨日まで彼がこの瞬間に期待していたものは、もっと生々しい恐怖、心の痛み、烈しい自責だった。だが床を流れる水の音、パチ、パチと弾く電気メスの響き、それらは鈍く、単調で、妙に物憂い。それどころか、何時もの手術とはちがって患者のショック死や急激な脈や呼吸の変化を怖れるあの張りつめた緊迫感が今この手術室のどこにもなかった。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 ページ位置:81% 作品を確認(amazon)
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人体解剖(死体を切り裂く)
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前後の文章を含んだ引用
......姿や。この姿が一つ、一つフィルムの中にはっきりと撮られていく。これが殺人の姿なんかな。だが、後になってその映画を見せられたとき、別に大した感動が起きるやろか) 言いようのない幻滅とけだるさとを戸田は感じた。昨日まで彼がこの瞬間に期待していたものは、もっと生々しい恐怖、心の痛み、烈しい自責だった。だが床を流れる水の音、パチ、パチと弾く電気メスの響き、それらは鈍く、単調で、妙に物憂い。それどころか、何時もの手術とはちがって患者のショック死や急激な脈や呼吸の変化を怖れるあの張りつめた緊迫感が今この手術室のどこにもなかった。捕虜がやがて死ぬことはだれでもが知っている。別に生き伸びさす理由は少しもない。そのために電気メスを握るおやじの動きにも、コッフェルをとめている浅井助手、立会の柴......
単語の意味
妙(みょう)
物憂い(ものうい)
・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
物憂い・・・気持ちがさっぱりしない。なんとなく心にわだかまりがある。だるくて何もかも面倒だ。「物」は、なんとなくそういう感じがすることを表す。
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観音開きの戸のようにメスが入った皮膚を開き
島田 雅彦 / ある解剖学者の話「ドンナ・アンナ (新潮文庫)」に収録 amazon
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