それは終わるのがこわいくらい完璧な一日だった。冬の美しく澄んだ大気の中の、すべてがあまりにも美しくやさしい一日のその余韻のように、振り向いた等の黒いジャケットが闇に溶けてゆくさまをおぼえている。
吉本 ばなな / ムーンライト・シャドウ「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:55% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......し、幼いからお互いを傷つけたことも多々あった。だからいつもそんなに幸せで仕方ないわけではない、結構手間のかかる年月だった。それでもいい四年だった。そして中でも、それは終わるのがこわいくらい完璧な一日だった。冬の美しく澄んだ大気の中の、すべてがあまりにも美しくやさしい一日のその余韻のように、振り向いた等の黒いジャケットが闇に溶けてゆくさまをおぼえている。 この場面は泣きながら何度もリバースした場面だ。いや、思い出す度に涙が出てしまった。橋を渡り、追いかけていって行ってはだめだと連れ戻す夢も何度も、何度も見た。夢......
単語の意味
余韻・余韵(よいん)
余韻・余韵・・・1.余(あま)った韻(いん[=似たような響き])。余った音。鐘をついた後などにある、音が鳴り終わった後にも残っている響き。「韻」と「韵」はどちらも訓読みで「ひび(き)」と読め、「音」を意味する字。「余音」とも書く。余響(よきょう)。
2.1が転じて、事が終わったあとも残る風情や味わい。また、詩文などで言葉で直接あらわされていない趣(おもむき)。余情(よじょう)。
2.1が転じて、事が終わったあとも残る風情や味わい。また、詩文などで言葉で直接あらわされていない趣(おもむき)。余情(よじょう)。
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