目も向けられないような濃い雪の群れは、波を追ったり波からのがれたり、さながら風の怒りをいどむ小悪魔のように、面憎 く舞いながら右往左往に飛びはねる。吹き落として来た雪のちぎれは、大きな霧のかたまりになって、海とすれすれに波の上を矢よりも早く飛び過ぎて行く。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:40% 作品を確認(青空文庫)
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吹雪・暴風雪
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前後の文章を含んだ引用
......た三角波が互いに競って取っ組み合うと、取っ組み合っただけの波はたちまちまっ白な泡 の山に変じて、その巓 が風にちぎられながら、すさまじい勢いで目あてもなく倒れかかる。目も向けられないような濃い雪の群れは、波を追ったり波からのがれたり、さながら風の怒りをいどむ小悪魔のように、面憎 く舞いながら右往左往に飛びはねる。吹き落として来た雪のちぎれは、大きな霧のかたまりになって、海とすれすれに波の上を矢よりも早く飛び過ぎて行く。 雪と浸水 とで糊 よりもすべる船板の上を君ははうようにして舳 のほうへにじり寄り、左の手に友綱の鉄環 をしっかりと握って腰を据 えながら、右手に磁石をかまえて、大声で......
単語の意味
面憎い(つらにくい)
面憎い・・・顔を見るだけでも憎らしい。顔を見るのも嫌で不快だ。
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吹雪・暴風雪の表現・描写・類語(雪・霜・あられのカテゴリ)の一覧 ランダム5
びゅう――と、雪は、大竹藪をなぐっていた。
吉川英治 / 雲霧閻魔帳
吹雪が、土間の中へ、斜めに、白い光の縞を投げこんで、妖しげなすすり泣きを吹き攫 った。
吉川英治 / 雲霧閻魔帳
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「雪・霜・あられ」カテゴリからランダム5
(冷凍庫に冷やしていたウォッカの)壜 についた霜が、握りしめた手のかたち通りに水になって垂れた。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
雪雲がどんよりと低くたれこめ、雪におおわれた大地と空のあいだにはほんの少しの空間しかあいていなかった。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
川を見つめた。白く浮いている岸辺の雪から短い枯れ木が突き出て、流れの部分だけが長々と黒ずんでいた。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
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