天井近く浮んだ微塵物にシャンデリアの光が射して桃色や紫色の横雲に見えた。よく見るとその雲は踊りのテンポと同じ調子に慄（ふる）え、そして全体として踊りの環と同じ方向にゆる／＼移っていた。

（手術室の）スイッチを 捻ると、無影燈の青白い光が天井や四方の壁にまぶしく反射した。

緑色の笠（かさ）のかかった、電灯の光は海の底のように部屋の中を思わせた。

電灯は暗く、ほこりをかぶったスタンドだけが机の上に六十ワットの光を投げかけていた。

（電球の球は）未熟な少女のように《…略…》光沢なく点っている。

新しい酒の註文にギャルソンの駆（は）せ違う姿が活気を帯びて来た。

お見舞いの桃

西日が小箱の口のように、たった一方に開いた縁側からさしこんで来た。

時刻は昼らしく、天井の明かりからまっすぐに日が差し込んでいた。光は何本かの太い柱となって床から直立し、その中で細かな塵が舞っているのが見えた。その光の柱は刃物で切り取られたようにくっきりと鋭角的で、南国の太陽の激しさを部屋の中に送り込んでいた。光のない部分は暗く冷やかだった。そのさまあまりにも対照的だった。まるで海底にいるみたいだな、と僕は思った。

中途半端にしか開かれていない遮光カーテンをそれぞれ左右にきっちり寄せる