TOP > 感情表現 > 気分が晴れない・落ち込む
何か体の芯から力が抜けて、存在が立ちゆかなくなるような感覚に見舞われた。その空隙に、冷たく、薄汚い不快が染み渡っていって、もうそのすべてを取り除くことは出来そうになかった。気分というものを、そんなふうに液状の何かと感じ取ったのは、この時が初めてだった。
平野啓一郎「ある男」に収録 ページ位置:20% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
がっかり・落胆する
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......、流石に心中穏やかではなかった。自分だけでなく、「既婚」で「子供が一人いる」という情報まで出ている。彼はそれに、マウスを持つ手が震えるほど腹が立ったが、同時に、何か体の芯から力が抜けて、存在が立ちゆかなくなるような感覚に見舞われた。その空隙に、冷たく、薄汚い不快が染み渡っていって、もうそのすべてを取り除くことは出来そうになかった。気分というものを、そんなふうに液状の何かと感じ取ったのは、この時が初めてだった。 彼は妻に、今以て、そのことを話してはいなかった。話すべきである気もしたが、話したくなかったし、話せなかった。妻だけでなく、一頃は韓流ドラマに夢中になっていた彼......
単語の意味
体(からだ)
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
ここに意味を表示
がっかり・落胆するの表現・描写・類語(気分が晴れない・落ち込むのカテゴリ)の一覧 ランダム5
池本は完全に虚脱したようだった。口を半開きにしたまま、力なく雪見を見る。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「気分が晴れない・落ち込む」カテゴリからランダム5
自分の胸が重くなるのを感じた。陰鬱な思いが身体を駆ける。呼吸もままならず、息を吐いても吐いても、空気が溜まってくる感覚があった。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
一層気が重かった。総てのことが晴れやかでないという感じが、深く伸子の心を圧えつけた。
宮本百合子 / 伸子
運がいいとか、悪いとかは確かにあっても、それに身をゆだねるのは甘えだ。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
湯あたりにも似た倦怠感。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
気分が晴れない・落ち込む の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ