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夏という季節はいつも、忙しく、せっかちで、こちらが油断している間にするすると走り去ってしまうのだ。夏だけじゃなくて、夏ほどじゃないけれど、他の季節もみんな速足だ。ゆっくりとのんびりとあたしたちと一緒に歩いたりはしてくれない。 それは十八歳というあたしたちの年齢と関係あるのだろうか。それとも幾つになっても、季節はそっけなく近づいてきたと思ったら、あっという間に背を向けて遠ざかっていくものなのだろうか。今のあたしにとって、季節はこんなにも早熟で、あまりにも早く老いていく。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 ページ位置:49% 作品を確認(amazon)
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季節の変わり目、移り変わり
すぐに・あっという間に
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前後の文章を含んだ引用
......、たった一週間前のことなのに、あの日と今日とではまるで違う。夏が衰えてきているのだろうか。とっとと駆け足で、あたしの横を通り過ぎていこうとしているのだろうか。 夏という季節はいつも、忙しく、せっかちで、こちらが油断している間にするすると走り去ってしまうのだ。夏だけじゃなくて、夏ほどじゃないけれど、他の季節もみんな速足だ。ゆっくりとのんびりとあたしたちと一緒に歩いたりはしてくれない。 それは十八歳というあたしたちの年齢と関係あるのだろうか。それとも幾つになっても、季節はそっけなく近づいてきたと思ったら、あっという間に背を向けて遠ざかっていくものなのだろうか。今のあたしにとって、季節はこんなにも早熟で、あまりにも早く老いていく。 風が涼しい。濃い緑の葉が裏返る。ツクツクボウシが鳴いている。燕が中空を滑るように横切っていく。 睦月が振り返った。「リィ?」 あたしは睦月を見上げ、笑ってみる......
単語の意味
背(せ)
早足・速足・速歩(はやあし)
早足・速足・速歩・・・1.速い歩調で歩くこと。歩き方の速いこと。急ぎ足。
2.馬などの、歩くのと走るのとの中間の歩調。1分間に約210メートル進む速さ。トロット。
3.行進のときの、基準の歩き方。並足(なみあし)。
2.馬などの、歩くのと走るのとの中間の歩調。1分間に約210メートル進む速さ。トロット。
3.行進のときの、基準の歩き方。並足(なみあし)。
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暦をめくるように、季節で貌(かお)を変える庭木や下草
向田 邦子 / 思い出トランプ amazon
ひとつの季節がドアを開けて去り、もうひとつの季節がもうひとつのドアからやってくる。人は慌ててドアを開け、おい、ちょっと待ってくれ、ひとつだけ言い忘れたことがあるんだ、と叫ぶ。でもそこにはもう誰もいない。ドアを閉める。部屋の中には既にもうひとつの季節が椅子に腰を下ろし、マッチを擦って煙草に火を点けている。もし言い忘れたことがあるのなら、と彼は言う、俺が聞いといてやろう、上手くいけば伝えられるかもしれない。いやいいんだ、と人は言う、たいしたことじゃないんだ。風の音だけがあたりを被う。たいしたことじゃない。ひとつの季節が死んだだけだ。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
(北海道は)東京よりちょうど一ヵ月ぶん早く秋が地上に腰を据えていた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
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それからの展開は早かった。フィルムのコマ落としをした映像を見ているようだった。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
煙草が半分燃え尽きるほどの時間しかかからなかった
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
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追いかけられるような気持
志賀 直哉 / 小僧の神様「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 amazon
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