私たちははじめましての乾杯をして、この夏はじめての生ビール大ジョッキを飲んだ。 夏の 匂いがした。サイパンとは違う。もっと淡い影と共に訪れ、深い陰影を持った夏だ。いつのまにか飲み物や木々の緑に混じってきて、むきだしの腕に触れてきて、気づくと空一面に広がっている。力強く街中に満ちている。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:74% 作品を確認(amazon)
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夏
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前後の文章を含んだ引用
......私はびっくりした。 その時、ウェイターが生ビールと乾きぎみの枝豆を重そうに運んできて話は中断した。はたからみたら上司と部下の不倫カップル、というところだろうか。私たちははじめましての乾杯をして、この夏はじめての生ビール大ジョッキを飲んだ。 夏の匂いがした。サイパンとは違う。もっと淡い影と共に訪れ、深い陰影を持った夏だ。いつのまにか飲み物や木々の緑に混じってきて、むきだしの腕に触れてきて、気づくと空一面に広がっている。力強く街中に満ちている。「そういえばきしめんが、あなたは弟と新興宗教をつくろうとしてるって言ってました。それが誤解の部分ですか?」 私はたずねた。「そんなつもりはないですよ。宗教だなん......
単語の意味
淡い(あわい)
陰影・陰翳(いんえい)
淡い・・・味や色や香りなどが薄い。光や形がぼんやりしている。
陰影・陰翳・・・1.影のこと。日が当たっていない暗いところ。
2.1が転じて、具体的に説明されていない部分。味わうことで理解できる、変化や含み。ニュアンス。「陰影に富む文章」
2.1が転じて、具体的に説明されていない部分。味わうことで理解できる、変化や含み。ニュアンス。「陰影に富む文章」
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夏の海が銀紙を貼り付けたように鈍く、そのくせ眼底までくらませるような強い光を跳ね返してくる
阿久悠 / 瀬戸内少年野球団 amazon
全てのものがうだってしまいそうな真夏の午後のひと時
石坂洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
(店内)季節感はゼロ。ただ、異常に効きすぎた冷房だけが季節が夏へと変化していることを知る唯一の手段である。
せきしろ / 去年ルノアールで 完全版 amazon
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「夏」カテゴリからランダム5
風鈴が折々思い出したようにかすかに鳴る
森 鴎外 / 阿部一族 amazon
薄い硝子 の玉に、銀のメッキをした(風鈴)
林芙美子 / 新版 放浪記
昼の暑さがじょじょに、薄く透き通る青空に吸い込まれてゆく時刻だった。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
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