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(専業主婦、子なし)今の自分の生活は、島流しと実は大差ないのではないか。こんな継ぎ目のないような生活をしていると、時間だけはたっぷりあるので、ついそんなしょうもないことを考えてしまう。果実のなる木があり、動物たちと好きなだけたわむれる時間があり、島は島でも楽園や極楽の類には違いないが、それでもたまに、無性に自分が元いたところが恋しくなってしまうのである。結婚したばかりの頃は、このままでは自分が駄目になると、島からの脱出をしばしば本気で考えもした。が、すぐに果実の奪い合いや、他人とのいざこざを思い出し、結局はこの極楽を捨てるほどの理由も見つからず、自分がどこか切り離された人間であるかのように感じながら、こうして今もふわふわ極楽の住人をしてしまっている。
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 ページ位置:67% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......のっぺりした生活に奥行きを与えてくれるような気がするのだ。子供もなく、職にも就かず、主婦としてどこかふわふわした自分にとって、こうした実感はなかなか得がたい。 今の自分の生活は、島流しと実は大差ないのではないか。こんな継ぎ目のないような生活をしていると、時間だけはたっぷりあるので、ついそんなしょうもないことを考えてしまう。果実のなる木があり、動物たちと好きなだけたわむれる時間があり、島は島でも楽園や極楽の類には違いないが、それでもたまに、無性に自分が元いたところが恋しくなってしまうのである。結婚したばかりの頃は、このままでは自分が駄目になると、島からの脱出をしばしば本気で考えもした。が、すぐに果実の奪い合いや、他人とのいざこざを思い出し、結局はこの極楽を捨てるほどの理由も見つからず、自分がどこか切り離された人間であるかのように感じながら、こうして今もふわふわ極楽の住人をしてしまっている。 角の花屋を曲がると鮮やかな松葉牡丹が目に留まった。九月に入り、軒先に並ぶ草花も、秋の気配を漂わせ始めている。さっきキタヱさんに言われた「誘惑」という言葉が、妙......
単語の意味
類・類い(たぐい)
類・類い・・・同じ程度のもの。同じ種類のもの。同類。同種。比(比い)とも書く。
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結婚するの表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
もしニ彼と結婚すれば私はなんのこだわりもなく、にせもののチャペルでレンタルの花嫁衣裳を着て、年代順に前から並べた過去の集大成の友だちコレクションに見守られながらバージンロードを歩くだろう。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
(独身でいることの)行先に不安を感じて、養老保険でもかけるように、結婚しようと焦っている
宮本百合子 / 伸子
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だらだら暮らすの表現・描写・類語(暮らし・生活のカテゴリ)の一覧 ランダム5
改めてソファにひっくり返り、昼近くまでうとうとする。十一時になると起き出して顔を洗う。歯磨きの白いしみの飛んだ曇った鏡に、三十八歳の職のない男のむくんだ顔がうつっている。空気が 澱み、時間まで腐ってしまいそうだ。
向田邦子 / マンハッタン「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
とりとめのない一週間だった。どこに行くというあてもない日々の羅列だった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
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「恋愛」カテゴリからランダム5
「不倫の末にきちんと結婚したという例はほとんど0です。そのことがわかっている人だけが不倫の恋を楽しめる資格があります。そしてこの恋を自分の成長のためのひとつのステップにしましょう。」 どういう女性誌を見ても、たいていそう書いてある。
吉本 ばなな / キムチの夢「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
身体を離すまえに、緩く開いた唇を重ねる。深く探り合うことはせずに舌先で戯れ、水島の湯のような唾液を少し飲む。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「暮らし・生活」カテゴリからランダム5
とりあえず僕にとっていちばん必要なことは新しい仕事をみつけることなのだ。そして僕なりの新しい生活サイクルを確立することなのだ。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
岡本かの子 / 河明り
生活が細い強靭な根をのばす
柴田 翔 / 燕のいる風景 amazon
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