しんしんと冷える冬の夜道が豪華な星空に彩られる

日暮れ近い穏かな初冬の陽が静かに褪（さ）めかけている。

晴れ切った夜空に、冬の名残に響くばかり冴えた星斗が落ちて散らばる

風はないけれども月の白さでひどく冷え込んだような晩

霧をはらんだ冬の夜ふけの冷たい空気が硬い粉のように瞼や頬に痛かった

初冬の冷く粒立った空気が、爽かな陽光を含んで冴え返っていた

星は語らない。ただはるかな山すそから、干潮になった無月の潮騒（しおざい）が、海妖（かいよう）の単調な誘惑の歌のように、なまめかしくなでるように聞こえて来るばかりだ。風が落ちたので、凍りついたように寒く沈み切った空気は、この海のささやきのために鈍く震えている。

冬至に近づいてゆく十一月の脆（もろ）い陽ざし

一面を覆っていた雪が溶けて、沢の水が音を立てて流れ始める春の日

冬も過ぎて、梅が咲き椿（つばき）が咲くようになった。太陽の生み出す慈愛の光を、地面は胸を張り広げて吸い込んでいる。