生まれた家では、夜おそくよく汽笛が響いてきた。天井板のこみいった木目に怯えて、寝付かれない子どもの耳に、それが騒音というにはあまりにもか細い、なにか優しい未知の華やかさのように聞こえてきた。ちょうどそれは、おもいがけない遠くでさざめいている都の夜のようなものである。
三島由紀夫 / 花ざかりの森 作品を確認(amazon)
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就寝前に聞こえる音
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単語の意味
汽笛(きてき)
さざめく
汽笛・・・機関車や蒸気船などの、蒸気を吹き込んで音を出す笛。
さざめく・・・ざわざわと騒ぐ。にぎやかに騒ぎ立てる。さんざめく。
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うわ、本当にもう寝てる、と台所にお茶を飲みにきた雄一の声を、頭の片すみで聞いたような──気がした。
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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波の音かと思われる鼓(つづみ)や太鼓が浜風に伝わった。
徳田 秋声 / 縮図 amazon
岩を噛む波の音が嵐のように凄まじく聞こえる
円地文子 / 女坂 amazon
「睡眠・眠る・寝る」カテゴリからランダム5
彼女の寝顔は、私の寝顔みたいに、熟睡するとあったまったプリンみたいに横に広がって目鼻立ちがのっぺり見えるようなこともなく利発そうだ。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
うすい蒲団へ柏餅 にくるまって
吉川英治 / 醤油仏
客席には学生風のカップルが一組いるだけで、それもプラスチックのテーブルにうつ伏せになって、ぐっすりと眠っていた。テーブルの上には彼らの頭がふたつとストロベリー・シェイクのカップがふたつ、前衛的なオブジェのように整然と並んでいた。
村上春樹 / パン屋再襲撃「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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