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アルコール中毒の表現・描写・類語(健康・体調・病気のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(仕事が終わると、)練習がすんだ後に水道の蛇口を奪い合う、スポーツ部の学生のように、おれは酒屋の立ち呑みなり、安バーなりに駆け込むのだ。渇きは、飲んでも飲んでもいやされることはなかった。まるで塩水でも飲んでいるように、飲めば飲むほどアルコールに対する渇きが増すのだった。おれの内臓は頑丈で、いくら飲んでも吐き戻したり昏倒したりという失態はなかった。《…略…》胃に穴のひとつもあけば、少くとも半年や一年は禁酒の空白期を持てただろう。 内臓は頑丈でも、おれの心には穴がいくつもあいていた。夜ごと飲みくだすウィスキーは、心にあいたその穴からことごとく漏れてこぼれ落ちてしまうのだった。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon
アルコールというサタンからのがれる
太宰治 / 人間失格
(アル中患者が、)シラフでいることはおれにとって異様な体験なのだ。すがるもの、杖とするものがない不安。おれは重度の近視なのでわかるのだが、この不安な感じは、極度の近視の人間がメガネを失くしてしまったときのあせりによく似ている。メガネを探さねばならないのに、メガネがないからうまく探せない。入り組んで出口のない不安だ。アルコールが抜けたときのこの心もとなさは、メガネを失くした不安を何十倍か強烈にした感じだ。おれはずっと酩酊がもたらす、膜を一枚かぶったような非現実の中で暮らしてきた。酔いがもたらす「鈍さ」が現実をやわらげていたのだ。それがいま、尖端恐怖症の人間に突きつけられたエンピツの先にも似た、裸で生の世界が鋭角的に迫ってくる。メガネを失くしたのとは逆で、くっきりと鮮明な現実が、アル中の濁った五感を威圧するのだ。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon
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病気以来、自分の身体を爆薬のように怖れる
円地 文子 / 朱(あけ)を奪うもの amazon
近頃、不意に背後から左の肩にずっしりと乗っかってくる目に見えない漬物石に悩まされている。
三浦 哲郎 / 拳銃と十五の短篇 amazon
悪寒がする。ねっとりと湿ったヘビのような悪意が、自分の足を伝い、体内に侵入してくるような不気味さに覆われる。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
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