残暑は厳しく、夜になっても一向に涼しくならない

八（や）つ口（くち）の綻（ほころ）びから秋風（あきかぜ）が断わりなしに膚（はだ）を撫（な）でてはっくしょ風邪（かぜ）を引いたと云う頃

山の木々が、蝉しぐれの中でざわざわと梢の揺らす

夏が衰えてきている

夏の緑の輝きが褪せる

末遠いパノラマのなかで、花火は星水母（くらげ）ほどのさやけさに光っては消えた。

庭の木で蜩が鳴いている。 　夏の終わりが近い。

ささやかな淡い光は、まるで行き場を失った魂のように、いつまでもいつまでもさまよいつづけていた

線香花火の玉は、あたし達の過去や未来、期待や不安や失望や夢、すべてを含んで、たっぷり、たっぷりと膨らんでいるんだと思った。火の玉は、なみだのようにふるふる震えてこぼれおちそうに揺れていて、

真夏のジットリした暑さがこもった家の中