限りない安息が、おもむろに心を満たして来るのを感じた。母のひざを離れてから、何年にも感じた事のない、静かな、しかも力強い安息である。
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:86% 作品を確認(青空文庫)
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安心する
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前後の文章を含んだ引用
......見えなければ、地も見えない。ただ、彼をいだいている兄の顔が、――半面に月の光をあびて、じっと行く手を見つめている兄の顔が、やさしく、おごそかに映っている。彼は、限りない安息が、おもむろに心を満たして来るのを感じた。母のひざを離れてから、何年にも感じた事のない、静かな、しかも力強い安息である。―― 「にいさん。」 馬上にある事も忘れたように、次郎はその時、しかと兄をいだくと、うれしそうに微笑しながら、頬 を紺の水干 の胸にあてて、はらはらと涙を落としたので......
単語の意味
安息(あんそく)
安息・・・安らかな休息すること。悩むことなくリラックスして休むこと。
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心地よさそうに寝息を立てている。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
いかにも教室を冷静に見つめているかのように、こっそりと、皆より少し高いところにいるような気分に浸っている。そして、実際には値段の低い自分のボロボロの自尊心を慰めている。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
いろいろなことがなんとなく心細く思えていた私の 瞳 にはその笑顔が、私たちの初めの瞬間を目撃していてくれたさゆりの、耳に小さく光るピアスが、長いまつげが、赤いくちびるの笑ったかたちが、まるで女神様のように力強く見えた。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
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なんだかほっとした。全身にこめられていた力がふわりと抜けていくような気がした。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
妃殿下の如く優雅な気分で
高森 和子 / 母の言いぶん amazon
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