外へ出て見る。雪かと思うほど、四囲は月の光りで明るい。
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:79% 作品を確認(青空文庫)
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月の光・月明かり
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前後の文章を含んだ引用
......人になりそうだ。どうにもならぬと思いながら、夜更けの道を、あのひとがあんぱんをいっぱいかかえてかえりそうな気がして来る。かすかにあしおとがするので、私ははだしで外へ出て見る。雪かと思うほど、四囲は月の光りで明るい。関節が痛いほど寒い。ぱったりと戸口で二人が逢えばどんなに嬉しかろう……。 遠いあしおとは何処かで消えてしまった。硝子戸 を閉ざして、また七輪のそばに坐る。坐ってみ......
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月の光・月明かりの表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
森の上部の線のあたりが暗く、それに比べて空が明るくなって月が後の森を出てその半月形の一部を森の上に現わすと、辺りの松や熊笹や穂のある雑草の上に、冷気の層が、音をたてて下りてくるかのように思われた。
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
月の光が、熱のない光線を入り江の両岸に、隈なく降り濺(そそ)ぐ
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
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澄みきってなめらかな玻璃(はり)のような青空
加賀 乙彦 / フランドルの冬 amazon
月の光。水の底にいるような青い光のなかに寝そべって、足の先でハンモックをゆすぶり
林 芙美子 / うず潮 (1964年) amazon
月の輝きを無心に眺めているうちに、天吾の中に古代から受け継がれてきた記憶のようなものが呼び起こされていった。人類が火や道具や言語を手に入れる前から、月は変わることなく人々の味方だった。それは天与の灯火として暗黒の世界をときに明るく照らし、人々の恐怖を和らげてくれた。その満ち欠けは時間の観念を人々に与えてくれた。月のそのような無償の慈悲に対する感謝の念は、おおかたの場所から闇が放逐されてしまった現在でも、人類の遺伝子の中に強く刷り込まれているようだった。集合的な温かい記憶として。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
夕焼けの雲が西の空から広がって、厳かに見えるほど単純な深さで半天をばら色に染める
石森延男 / コタンの口笛・第2部 amazon
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