浴衣の袖を揺らす夏の風

照りつける陽光から存分に栄養を吸った稲が、青々と地を埋め尽くす夏

夏草が背丈よりも高く生い茂る

誘導棒の赤い光に羽虫が集まっていて、それを振り払おうと棒をいたずらに振ったら蛾に当たり、殴られた蛾はアンバランスな低空飛行をしばらく続けた後、砂利の上で動かなくなった。もうそういう季節になってきている。

あぶら蝉があつさをかきたてるように鳴いている

この辺は藪（やぶ）がありますので、春の末からもう蚊が出ます

天地が若々しく冴え冴えしい初夏

柳の葉を揺らせる風は、ほんの少しだけれど夏の終りを思わせた。

八（や）つ口（くち）の綻（ほころ）びから秋風（あきかぜ）が断わりなしに膚（はだ）を撫（な）でてはっくしょ風邪（かぜ）を引いたと云う頃

人間が生み出した物の中では傑出した壮大さと美しさを持つ花火