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この男は見るからに、何をやってもまずうまく行かないというタイプだった。そういうタイプの標本みたいな男だった。まるで淡い青インクの溶液に一日漬けておいてから引っ張り上げたみたいに、彼の存在の隅から隅まで失敗と敗退と挫折の影が染みついていた。ガラスの箱に入れて、学校の理科室に置いておきたくなるような男だった。「何をやっても上手くいかない男」という札をつけて。
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ネガティブな人の印象
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単語の意味
淡い(あわい)
染み付く(しみつく)
溶液(ようえき)
淡い・・・味や色や香りなどが薄い。光や形がぼんやりしている。
染み付く・・・シミになって付く。すっかり染み込む。染み込んで取れなくなる。
溶液・・・二つ以上の物質が溶けて均質になっている液体。薬品などが溶けて、よく交じり合った液体。液体が水なら「水溶液」、アルコールなら「アルコール溶液」。また、溶けている物質を溶質、溶かしている液体を溶媒という。
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若い方は背が低く、髪が長めだった。目が細く、鋭かった。一昔前の文学青年みたいに見えた。同人誌の集まりで額の髪をかきあげて「やはり三島だよ」と言ったりしそうな雰囲気がある。
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モヨ子の身体は、風の中の木の葉のように慄(ふる)えが止まらず、時造の支えがなければ、一刻も立っていられそうに見えなかった。
石坂洋次郎 / 女同士 : 他七篇(草を刈る娘) amazon
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店内はむせ返るようであった。
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俺は石の湿った裏側に蠢いている虫けらみたいな、じめじめした薄汚い存在かもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
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