(師走のあわただしさ)こうした情緒など、いらぬというのならそれでもよいが、味わうことのできる人は、味わわない人よりも幸福なことはたしかだ。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:68% 作品を確認(amazon)
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年末・年の瀬
情緒・ムード
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前後の文章を含んだ引用
......べく欠かさずにやっている。 家の外の東京の風景は、見る影もなく荒廃してしまったけれども、家の中では、むかしに変らぬ師走のあわただしさが、日と共に加わってくる。 こうした情緒など、いらぬというのならそれでもよいが、味わうことのできる人は、味わわない人よりも幸福なことはたしかだ。 なるべくなら、仕事は二十日ごろまでに、すべてを終えてしまい、先に立って師走の行事をしたい私なのだが、今年は少々いそがしくて、そうもならぬ。以前は家人や弟を引き......
単語の意味
師走(しわす)
師走・・・陰暦もしくは、大陽暦の12月の異名。諸説ある由来の中でよく言われるのが、年末である12月は、師匠の僧がお経をあげるために、忙しく東西を馳(は)せる月であるというもの。また、一年の最後で今年のうちにやるべき事は、全部やりとげる月と言う意味で「為果つ(しはつ)」が元になっている、とも。極月。臘月。
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年末・年の瀬の表現・描写・類語(冬のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(戦前の東京)冬至がすぎると、夜毎に冴えわたってきて、町には暦売りが出て来るし、町の物音がちがってくる。 いまの東京の町の音は、車輛と工事の騒音のみになってしまい、これは春も夏も、師走だとて変ることがない。人の暮しにも季節がなくなってしまった。 町をながすさまざまな物売りの声や、道行く人びとの声までも、大晦日へ向ってあわただしく、 「押しつまってくる……」 のであった。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
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情緒・ムードの表現・描写・類語(雰囲気・空気のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ナイロンの肌着や靴下のように、なよなとと滑っこい快さを感じさせる情緒
円地 文子 / 渦 amazon
谿谷(けいこく)にほとばしる清冽な水のような、勁(つよ)く奔流する情緒
円地 文子 / 渦 amazon
夕焼け色の湖をバックにベンチに座っている二人に、リリカルなピアノ曲なんかをそっとかぶせてみる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
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「冬」カテゴリからランダム5
もう四月が来ると云うのに、雪でも降りそうなこの寒い空
林芙美子 / 新版 放浪記
枯れて枝だけをのばす街路樹。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
「雰囲気・空気」カテゴリからランダム5
空気がにわかに濃密な肌触りで身を包む
黒井 千次 / 群棲 amazon
部屋の空気がひどく重くなっているように感じられた。極端に言えば、部屋の中にある何もかもが釘で床に固定されたような、そんな感じだった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
煤を溶かしたようなどす黒い空気
芥川 龍之介 / 蜜柑 amazon
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