(秋の夕方)山と山に狭ばめられた初秋の空も、蕭殺 とした墨いろの中に鬼気をもって、なんともいい難い悽愴
吉川英治 / 銀河まつり ページ位置:86% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
秋の空
秋の夕方・夜
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......から、暗夜の大河に人影はほんの僅か、寂寞 として、用意の足音もいと静かである。 そのかわりに、もし敗れたら恋も生命 もない。必死なところだ。しめっぽい川辺の夜風も、山と山に狭ばめられた初秋の空も、蕭殺 とした墨いろの中に鬼気をもって、なんともいい難い悽愴 という感は、むしろ今夜のほうがつよい。 雑草の離々 としている河原地を、水際離れて、およそ双方の間、約五間ほどの距離をとって立ち別れた。 筒埋 はすでにできている。......
単語の意味
凄愴・悽愴(せいそう)
蕭殺(しょうさつ)
鬼気(きき)
初秋(しょしゅう・はつあき)
凄愴・悽愴・・・ひどく痛々しいさま。
蕭殺・・・とても寂しいさま。とくに、秋の終わりの景色などにいう。
鬼気・・・鳥肌が立つほど不気味な気配。恐ろしい雰囲気。
初秋・・・秋の初めごろ。新秋(しんしゅう)。陰暦7月の異名。孟秋。
ここに意味を表示
秋の空の表現・描写・類語(秋のカテゴリ)の一覧 ランダム5
十月の空はすとんと気が抜けてしまいそうに高く青く広がって
椎名 誠 / 犬の系譜 amazon
このカテゴリを全部見る
秋の夕方・夜の表現・描写・類語(秋のカテゴリ)の一覧 ランダム5
初秋の黄昏は幕の下りるように早く夜に変った。
永井 荷風 / すみだ川 amazon
ついこないだまではこの時間でも明るかったのに、日の光もひっそりとしている。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「秋」カテゴリからランダム5
カサコソと枯葉が骸骨 の踊りを鳴らした。
梶井基次郎 / 冬の日
稲を刈った後の切り株が、タワシを並べたように整然と田の中に浮いて見える
水上 勉 / 越前竹人形 amazon
晩秋の冷たい靄が地に低くよどんで、空は紺青に澄んだ美しい宵
円地文子 / 朱を奪うもの amazon
同じカテゴリの表現一覧
秋 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ