濃いイオウの匂いが感じられる。何事かと思う。誰かが 屁 でもしたのかな、と寝ぼけた頭で思う。でもそんななまやさしい匂いではないんだ。自分の頭の中からしてくるみたいな、決して振り払えない匂い。
吉本 ばなな「アムリタ(上) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:92% 作品を確認(amazon)
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悪臭・くさい
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前後の文章を含んだ引用
......回くらいの割合で、真夜中ぱっちりと突然目が覚めることがあった。 そういうときは、まるで電気をつけられたかと思うくらいぱっと目が覚める。いつもそうだった。そして、濃いイオウの匂いが感じられる。何事かと思う。誰かが屁でもしたのかな、と寝ぼけた頭で思う。でもそんななまやさしい匂いではないんだ。自分の頭の中からしてくるみたいな、決して振り払えない匂い。僕はみんなを見る。ランプと月明かりで照らされて、健やかな寝息を立てて、死んだようにごろごろと横たわっている。せまい家のその風景は雑多で、のんきで安心する。姉の顔......
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