轢かれた猫の死体を放って帰るような、後ろめたさを感じながら、その場を後にした。

重い影が心に残る

（見殺しにした良心の呵責）殺した、殺した、殺した、殺した……耳もとでだれかの声がリズムをとりながら繰りかえしている。（俺あ、なにもしない）勝呂はその声を懸命に消そうとする。（俺あ、なにもしない）だがこの説得も心の中で 撥ねかえり、小さな渦をまき、消えていった。

この言葉は司祭の皮膚を鋭く刺した。

重苦しいうしろめたさを感じた

アルコール中毒に罹（かか）って、ああ酒を飲まなければよかったと考えるようなものさ

我ながら浅はかな考えに不快感が伴う

目が回ってその場に倒れてしまいそうなくやしさ恐ろしさを感じた。

切り裂くように胸が痛む

日々何か悪事を働いているようなやましい気持ち

限りない不満を覚える

返し難くなる借金のように心の負い目を増す

収拾のつかない自己嫌悪に駆られる

自責の念が激しく迫る

胸がえぐられるほどの自責

懺悔の火に心をただらせる

彼は心臓をつかまれたような気持になった。

重い影が心に残る

（黒い憂鬱の浸食）ゼリー状の憂鬱とでも言うべき、暗澹たるものが胸の中に広がりはじめ、それが自分の頭をも占領するのをひしひしと感じた。　黒い感情が、蝉の内側に充満する。湿って粘着性のあるものにも感じられたが、乾燥して水分のまるでない干涸らびた思いにも感じられた。これは、と蝉は朦朧とする頭で考えていた。これは何だよ。　どろどろとした沼で喘ぐような気持ちで、頭を回転させる。馴染みのない憂鬱さに、戸惑い、怯えた。自分に対する失望や落胆、幻滅に似た、何かに襲われている。阻喪とも放心ともつかない。　しばらくして、まさか、と思い至った。ふいに、まさかこれは、俺の中の罪悪感が溢れかえっているんじゃねえだろうな、と気がついた。

心の底から悔やむ

引力に抗する思いで玄関を出た

恋々たる感情が泉のように溢れて来る

返し難くなる借金のように心の負い目を増す

不貞を働いたように後ろめたい

身に余る扱いを受けてしまったような後ろめたさ

未練がましい

地獄（じごく）のような呵責（かしゃく）

こぶしを握りしめて、こみ上げる感情に耐えていた。

自責に心が耐えられない

重い影が心に残る