風もない。緑の葉を豊かにつけたヤナギの枝は、地面すれすれまで垂れ下がり、深く考えごとをしているみたいにぴくりとも動かなかった。時折小さな鳥がやってきてその枝に不安定にとまり、すぐにあきらめて飛び立った。枝がかき乱された心のように僅かに揺れ、やがてまた静まった。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 ページ位置:41% 作品を確認(amazon)
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柳
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前後の文章を含んだ引用
......は歩いて近所にある公園に行った。そこで空いているベンチを見つけて並んで座った。 空は薄く曇って、青空はどこにも見えなかったが、雨の降り出しそうな気配はなかった。風もない。緑の葉を豊かにつけたヤナギの枝は、地面すれすれまで垂れ下がり、深く考えごとをしているみたいにぴくりとも動かなかった。時折小さな鳥がやってきてその枝に不安定にとまり、すぐにあきらめて飛び立った。枝がかき乱された心のように僅かに揺れ、やがてまた静まった。「話の途中で携帯電話が鳴り出すかもしれないけど、そいつは勘弁してくれ。いくつか仕事の用件があってな」とアオは言った。「かまわない。忙しいことはわかっている」「携......
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振り乱れる大きな柳の緑が、人も車も途絶えた灰色の道端にぽつんと佇んでいる少年を、いまにも 絡み込んでしまいそうに思えた。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
風はなく、その枝は地面に向けてひっそりと垂れ下がっていた。とりとめのない思索に耽る人のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
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「植物」カテゴリからランダム5
花の精気を抜きとられたように、ぐったりと花弁が勢いを失う
有吉 佐和子 / 華岡青洲の妻 amazon
辛夷(こぶし)の梢は、ぬれ紙のあんばいの花が漂う
瀧井 孝作 / 無限抱擁 amazon
空に緑のレース模様を広げる欅(けやき)の枝の若い葉
落合 恵子 / センチメンタル・シティ amazon
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