TOP > 暮らしの表現 > 生と死 > 喪失感(大切なものを失う)
澄んでぴりぴりと冷たい空気の中でそうして立っていると、自分がほんの少し「死」に近い所にいるように思えた。
吉本 ばなな / ムーンライト・シャドウ「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:11% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
喪失感(大切なものを失う)
寒い・冷気・凍える
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......。 誰もいない橋の所で、川音に包まれて水筒の中の熱いお茶をゆっくり飲んで休んだ。白い土手がどこまでもぼんやりと続き、青い夜明けのもやで街の景色にかすみがかかる。澄んでぴりぴりと冷たい空気の中でそうして立っていると、自分がほんの少し「死」に近い所にいるように思えた。実際、そのきびしく透明なひどく淋しい光景の中でだけ、今の私は楽に呼吸ができた。自虐。ではない。なぜなら、その時間がないと私はどうしてかその後のその日一日をうまく......
ここに意味を表示
喪失感(大切なものを失う)の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(弟が生まれてしばらくして曾祖父が死んだ。)弟を撫でているうち、この赤ちゃんを産んだのは曾祖父ではないか、との思いにとらわれ、彼は自分でもわけが分からず奇妙な気分に陥った。これがつまり、悲しいという気持なのだろうか、と自分に問いかけた。
小川 洋子 / 盲腸線の秘密「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
寒い・冷気・凍えるの表現・描写・類語(気温のカテゴリ)の一覧 ランダム5
痛さを感じるほどの寒気がシンシンと身体へ浸みる
獅子 文六 / てんやわんや amazon
寒さは蝦(えび)のように屈むことをも彼に強いる。
稲垣 足穂 / 弥勒 amazon
このカテゴリを全部見る
「悲しみ」カテゴリからランダム5
「生と死」カテゴリからランダム5
人間は死ぬと、一時間に摂氏一度の割合で体温は下降する
鈴木 光司 / らせん amazon
狡智長(こうちた)けやらぬ狐のように、山ぞいをのほほんと歩いていて、自分の無知ゆえに猟師に射たれるような死に方
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
まずこちらの話を聞いてくれ、と。しかし声は出てこなかった。声帯を震わせるだけの空気がそこにはもうなかったし、舌も喉の奥で石のように固まったままだ。気管は今では隙間なく塞がれていた。空気は一切入ってこない。肺は新鮮な酸素を死にものぐるいで求めていたが、そんなものはどこにも見当たらない。身体と意識が分割されていく感覚があった。身体が寝袋の中でのたうち続けている一方、彼の意識はどろりとした重い空気の層に引きずり込まれていった。両手と両足が急速に感覚を失っていった。なぜだと彼は薄れていく意識の中で問いかけた。なぜ俺がこんなみっともないところで、こんなみっともない格好で死んでいかなくてはならないんだ。もちろん答えはない。やがて辺縁を持たぬ暗闇が天井から降りて、すべてを包んだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
(父の死)二人が座るにしては広すぎる食卓
朝井 リョウ / 僕は魔法が使えない「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「気温」カテゴリからランダム5
寒さは衣服に染 み入って
梶井基次郎 / 過古
身をかがめないと外を歩けないような寒さ
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
悲しみ の表現の一覧
悲しみのレベル
悲しみの感覚、精神的な反応
悲しみの表情、リアクション
その他の悲しみの表現
次の文字を含む「悲しみ」の表現を検索 |
悲しさが 悲しみを 悲しくて 悲しさ 悲しい 心 哀感 胸 寂しさが 寂しさ |
生と死 の表現の一覧
気温 の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ