そら豆は、柔らかく独特の匂いがあり、温雅で爽やかな食べ物

ソラマメを青々と茹でるには呼吸がいる。鍋の蓋をきっと睨みつけて頃合を計り、えいっとばかりに上げなければ実は皮から飛び出して煮崩れてしまう

口の中に優しい甘みが広がる

茹でるとくしゃくしゃに皺が寄るようなものを皮ごと食べるのが一番旨い

揚げたそら豆は、別にうまくないが、反り返った硬い皮が、口の天井や頬の内側を突いて痛いところに味わいがある

表皮は薄くて光沢が美しく、煮詰めても形が壊れていない

口の中の豆腐はとろける様に舌を撫でてくれる。まさに妙味必淡の世界。

油揚げは、豆腐製造のついでに作られるものである。生まれながらに、傍流の運命を背負わされてこの世に送り出されてきた。《…略…》豆腐に比べ、油揚げは容姿も見劣りがする。 　豆腐が、白く瑞々（みずみず）しい肌と、立体感あふれる容色を誇っているのに対し、油揚げはその容姿偏平、色浅黒く、肌には見苦しいシワさえ深く刻まれている。

納豆は芳しく辛子が利いている

豆腐は厚揚げのような歯ざわりだが芯はふんわり柔らかい