考えをふるい落とそうとするかのごとく激しく頭を左右に振る

私はそういうものを頭に入れまいと無視して常に自分だけの空間を生きようとつとめていたが、電波のように細かい粒子で飛びかうそんなものは、「気にしていない」という言葉を意識するだけで脳に侵入してくるようだった。

雑念を飲み込むように紙コップのコーヒーを一口飲み

妄想が浮かんでくるたびに大急ぎで頭を振る。

首を振って頭の中からイメージを追い払う

ちらついてくる杉山の 痩せて 尖った頬や肩の輪郭を心の中から消し去ろうと努めた。

情報の断片を辿って真相に行き着く

行き来する女々の体を追ってると、よくあるあの、漢字などの、書きすぎ・見すぎなどで突如襲われる未視感というのか、ひらがななどでも、「い」を書き続け・見続けたりすると、ある点において「これ、ほんまに、いぃ？」と定点決まり切らぬようになってしまうあの感じ、今の場合は、わたしの目に女々の体がそうなってきており、だいたいなぜあそこが膨らみ、なぜ一番てっぺんに黒いものが生えており、しゅるっとなってこのフォルム、そしてなぜここでだらりんと二本でなぜ足はあのような角度で曲がってこんな具合をしているのかの隅々を、見失ったというか改めて発見したというかの状態になって、そのあらためて感から抜け出せぬような予感におそわれ端的にぞわりとおそろしくなり

絶対に、絶対に大丈夫だから黙ってろ、と目が合ったとき私は口に出さずに、しかしすごい迫力で言った。 　それは伝わった。《…略…》テレパシーなんかじゃない。とにかく私にはわかった。何か光る暖かい流れが通いあったのだ。

霧の中を彷徨うかのような混乱