岡本かの子 / 渾沌未分 ページ位置:2% 作品を確認(青空文庫)
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夏
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前後の文章を含んだ引用
......この女水泳教師の薄 い水着下の腹輪の肉はまだ充分 発達しない寂 しさを見せてはいるが、腰 の骨盤は蜂 型にやや大きい。そこに母性的の威容 と逞 ましい闘志 とを潜 ましている。 蒼空 は培養硝子 を上から冠 せたように張り切ったまま、温気 を籠 らせ、界隈 一面の青蘆 の洲 はところどころ弱々しく戦 いている。ほんの局部的な風である。大たい鬱結 した暑気の天地だ。荒川 放水路が北方から東南へ向けまず二筋になり、葛西川 橋の下から一本の大幅 の動きとなって、河口を海へ融 かしている。 「何という判 らない陽気だろう」 小初は呟 いた。 ......
単語の意味
鬱結(うっけつ)
温気(うんき)
蒼空(そうくう)
鬱結・・・気持ちがスッキリしないこと。
温気・・・温かい空気。蒸し暑さ。むっとするような暖かさ。
蒼空・・・青空。蒼天。
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夏が終りかけようとし、森林に降っていた蟬の声が衰えていた。稲田は色づいていた。
松本 清張 / 真贋の森「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
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