考えるのはよそう。自然を受け入れなくては。何もかも物事は自然に流れていくものなのだ。彼は自分を修行僧のように変えることを決意した。

教科書が覆る新事実

（真実を受け入れるのが怖い）「君は怯えている。かつてヴァチカンの人々が地動説を受け入れることを怯えたのと同じように。《…略…》地動説を受け入れることによってもたらされるであろう新しい状況に怯えただけだ。それにあわせて自らの意識を再編成しなくてはならないことに怯えただけだ。《…略…》今まで長いあいだ身にまとってきた、固い防御の鎧を脱ぎ捨てなくてはならないことを怯えている」

時間をかけてその事実に慣れようとする

（悲劇を受け入れる）あゆみが死んだという事実を、事実としていったん受け入れたあと、青豆（人名）の中でひとしきり意識の調整に似た作業が進行した。やがてそれが一段落すると、青豆は泣き始めた。

気がつくと無力感が静かに音もなく、水のように部屋に満ちていた。僕はその無力感をかきわけるようにして浴室に行き、「レッド・クレイ」を口笛で吹きながらシャワーを浴び、台所に立って缶ビールを飲んだ。そして目を閉じてスペイン語で一から十まで数え、声を出して「おしまい」と言って、手をぱんと叩いた。それで無力感は風に吹き飛ばされるようにさっと消えた。

飢餓状態

胃袋が背中にくっ付くほど腹が減る

（上の空で声が聞こえていない）プールの水底で聞いている声のように、意味をなさない遠いこだまでしかなかった

飯が食えないと云って、物乞いのような気持ちには私はなれない