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私は手すりにかかっている彼の手を取った。彼は強く私の手を握り返した。知っている、乾いた暖かさだった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:82% 作品を確認(amazon)
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手を繋ぐ・腕を絡ませる
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......。「楽しいね。」「うん、本当に楽しみだ。」 彼は言った。 夕方の気配が、街にしのびよってきていた。陽にはかすかにオレンジが混じり、西の雲は明るく光りはじめた。 私は手すりにかかっている彼の手を取った。彼は強く私の手を握り返した。知っている、乾いた暖かさだった。ふたりの間には触覚もあったのだ、と思い知った。思い出した。目の前を泳ぐマンボウの、滑らかな白を見つめた。触りたい、と思った。 何もかもに触ってから確かめたい。 ......
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その手をにぎると、爬虫類の肌のように、ねっとりと冷たい。
北 杜夫 / 狂詩「北杜夫全集 第1巻 牧神の午後」に収録 amazon
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