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部屋では中央に拳程もあるハシシが香炉で焚かれ、立ち込める煙は呼吸のたびに否応なく胸に入ってくる。三十秒もたたないうちに完全に酩酊する。からだ中の毛穴から内臓がドロドロと這い出し、他人の汗やら吐く息が入り込んでくるような錯覚に陥いる。 特に下半身は重い沼につかったように爛れ、口は誰かの器官をくわえたくて、体液を飲み込みたくてムズムズしている。皿に盛られた果物を食べワインを飲むうちに、部屋全体が熱の冒され始めて、自分の皮膚を引き剥がして欲しいと思う。ツルツルした油にまみれている黒人達の肉体を体内に入れて揺すりたいと感じている。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー 作品を確認(amazon)
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単語の意味
立ち込める・立ち籠める(たちこめる)
下半身(かはんしん・しもはんしん)
肉体(にくたい)
胸(むね)
立ち込める・立ち籠める・・・煙や霧などの気体が、あたり一面を覆う。
下半身・・・体の、腰から下の部分。⇔上半身(じょうはんしん・かみはんしん)。
肉体・・・肉から構成されている体。生きている人間の体。生身の体。
・・・1.体の前面で、首と腹との間の部分。また、その内側にある心臓や肺臓、胃などの内臓。
2.(胸に宿るとされている、)心。想い。心中。
3.乳房(ちぶさ)。おっぱい。
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