栗きんとんは、正月の懐かしい味

穴が開いていて、先の見通しがよいといわれるレンコン。細く長く、土に根を張って生きるゴボウ。こんぶは「よろこんぶ」・・・。今年も母のお節ウンチクが始まる。

見た目から、正月くらいは豪華に過ごしてほしいという思いが感じられる

おせち料理と聞いて連想するのは、豪華、美味しい、ちょっと味が濃いめかな。いずれにせよ腕によりをかけて作った、年に一度の晴れの料理だ。

えりすぐりの特選素材で、味、盛り付け、すべてにこだわり美を追求した究極の御節

私は眼の前の会席膳（かいせきぜん）の食品の鮮やかさに強て念頭を拭（ぬぐ）った。 　季節をさまで先走らない、そして実質的に食べられるものを親切に選んであった。特に女の眼を悦（よろこ）ばせそうな冬菜（ふゆな）は、形のまま青く茹（ゆ）で上げ、小鳥は肉を磨（す）り潰（つぶし）して、枇杷（びわ）の花の形に練り慥えてあった。そして、皿の肴（さかな）には、霰（あられ）の降るときは水面に浮き跳ねて悦ぶという琵琶湖の杜父魚（かくぶつ）を使って空揚げにしてあるなぞは、料理人になかなか油断のならない用意あるがことを懐（おも）わせた。

海の家のおでんは、泳ぎ疲れた客を考えて、濃い目の味付けになっている

鉄板で焼いてアツアツのものをヘラで押し付けてそのヘラで食べるのが正しい作法である。ソースの味が何とのたまらない。

天地いっぱいをいただく。天地いっぱいとは山のもの、里のもの、海のものである。そんな代表が和え物ではないかと思う。和える。和合の妙味といえよう。

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