(病体で極寒の夜の山道を歩き続ける)定罰のような闇、膚を劈 く酷寒。そのなかでこそ私の疲労は快く緊張し新しい戦慄を感じることができる。歩け。歩け。へたばるまで歩け」 私は残酷な調子で自分を鞭 打った。歩け。歩け。歩き殺してしまえ。
梶井基次郎 / 冬の蠅 ページ位置:78% 作品を確認(青空文庫)
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ストレスが快感になっていく(防御反応としての幸福感)
やけくそ・自暴自棄
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前後の文章を含んだ引用
......私は日なたのなかで感じるようななんらの偽瞞をも感じない。私の神経は暗い行手に向かって張り切り、今や決然とした意志を感じる。なんというそれは気持のいいことだろう。定罰のような闇、膚を劈 く酷寒。そのなかでこそ私の疲労は快く緊張し新しい戦慄を感じることができる。歩け。歩け。へたばるまで歩け」 私は残酷な調子で自分を鞭 打った。歩け。歩け。歩き殺してしまえ。 その夜晩 く私は半島の南端、港の船着場を前にして疲れ切った私の身体を立たせていた。私は酒を飲んでいた。しかし心は沈んだまますこしも酔っていなかった。 強い潮の香......
単語の意味
酷寒(こっかん)
戦慄(せんりつ)
酷寒・・・ひどい寒さ。きびしい寒さ。極寒。厳寒。
戦慄・・・怖くて震えること。おののくこと。「戦」も「慄」も訓読みで「おのの(く)」と読める。
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やぶれかぶれになった賭博狂 のように
芥川竜之介 / 歯車
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私は支離滅裂だった。引き出しを開けたり閉めたり、トイレのドアを開けてみたり、花びんを倒して床をふいたりをくりかえして部屋中をうろうろ歩きまわり、結局なにも手に持っていないのに気づいた時には、さすがに少し笑って、落ち着かなくちゃ、と目を閉じた。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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(無力感)何かすごく大きいものに振り回されていて、自分が何をしてもどうにもならないような気分
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
土俵際に押し込まれた力士のように弓なりになってこらえる
後藤 明生 / 挾み撃ち amazon
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息ぐるしい。まるで生きながら、棺桶の蓋をされ、墓穴に吊り降されたようだ。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
網膜に薄くかかった 靄 が晴れるような快感があった。こんな風景を作りたいと思った。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 amazon
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