今までは勝手に先に自分で死んだあの子に、嫌われたような裏切られたようなくやしい気持ちが、心のどこかにあった
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:20% 作品を確認(amazon)
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故人
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......ただ会いたくて、会いたくて苦しいくらいで、いてもたってもいられなくなった。 もう会えない妹に異国の空の下で、死んでから初めてこんなに会いたくなるなんて妙だった。今までは勝手に先に自分で死んだあの子に、嫌われたような裏切られたようなくやしい気持ちが、心のどこかにあったからだと思う。 少し前、男たちがダイビングに出かけている間、させ子の部屋でマリリン・モンローの最後の映像を見た。死の直前に撮影していた未完成のコメディ映画のフィ......
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今までは勝手に先に自分で死んだあの子に、嫌われたような裏切られたようなくやしい気持ちが、心のどこかにあった
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
(亡くなった庄司の話題が出る)死んだ人の名が人の口から出ると、いつもその人が目の前の風景にとけこんでいるような気がする。ことにこうして野外で唐突に聞くと、涼しい影を落とす木立のざわめきや、霧のように甘く満ちた夏の外気や、きらきらと揺れる水面や、そういうものがとたんに庄司の面影を宿す。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
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死にたいと思ってもその元気もない
林芙美子 / 新版 放浪記
(ジャングルをさまよう日本兵のが感じた死の予感)比島の熱帯の風物は私の感覚を快く揺った。マニラ城外の柔らかい芝の感覚、スコールに洗われた 火焔 樹 の、眼が覚めるような朱の 梢、原色の朝焼と夕焼、紫に 翳る火山、 白浪 をめぐらした 珊瑚礁、水際に蔭を含む叢等々、すべて私の心を 恍惚 に近い歓喜の状態においた。こうして自然の中で絶えず増大して行く快感は、私の死が近づいた確実なしるしであると思われた。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
声を立てないのは、死んでいるのではなく、強く首の根を締めあげられているからで
吉川英治 / 八寒道中
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