静かなる小春の風が、杉垣の上から出たる梧桐 の枝を軽 く誘ってばらばらと二三枚の葉が枯菊の茂みに落ちた。
夏目漱石 / 吾輩は猫である ページ位置:2% 作品を確認(青空文庫)
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枯れ葉・葉が散る
風
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前後の文章を含んだ引用
......彼は猫中の大王とも云うべきほどの偉大なる体格を有している。吾輩の倍はたしかにある。吾輩は嘆賞の念と、好奇の心に前後を忘れて彼の前に佇立 して余念もなく眺 めていると、静かなる小春の風が、杉垣の上から出たる梧桐 の枝を軽 く誘ってばらばらと二三枚の葉が枯菊の茂みに落ちた。大王はかっとその真丸 の眼を開いた。今でも記憶している。その眼は人間の珍重する琥珀 というものよりも遥 かに美しく輝いていた。彼は身動きもしない。双眸 の奥から射るごと......
単語の意味
小春(こはる・しょうしゅん)
小春・・・1.初冬の、穏やかで暖かい春に似た日和が続くころ。
2.陰暦10月の異名。春のような暖かい日和が続くから。小六月(ころくがつ)。
2.陰暦10月の異名。春のような暖かい日和が続くから。小六月(ころくがつ)。
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枯れ葉・葉が散るの表現・描写・類語(秋のカテゴリ)の一覧 ランダム5
光った土の上へ、飛白(かすり)のように落葉が乾いて散らかっていた
林 芙美子 / 泣虫小僧 amazon
蝕まれて繊細なレース編みのように葉脈だけになった葉
森 敦 / 月山 amazon
落ち葉を踏むと、くしゃりと、乾いた音をたてながら葉っぱが破裂した。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
カサコソと枯葉が骸骨 の踊りを鳴らした。
梶井基次郎 / 冬の日
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風の表現・描写・類語(風のカテゴリ)の一覧 ランダム5
風が目に入り涙が流れて、見上げた空は遠くで晴れている。
綿矢 りさ / 仲良くしようか「勝手にふるえてろ (文春文庫)」に収録 amazon
一本道にかかると、荒い幅広い風が幾里も先の山脈からその一筋道に吹き下した。
宮本百合子 / 伸子
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「秋」カテゴリからランダム5
空の天井が抜けたような秋
倉橋由美子 / ポポイ amazon
ごんごん胡麻 は老婆の蓬髪 のようになって
梶井基次郎 / 冬の日
風に吹かれて私は秋だわ、と思った。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
稲の葉が、根もとから五つにわかれて天へのびていた。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
「風」カテゴリからランダム5
夜の間 静まっていた西風が思い出したように障子にぶつかって
有島武郎 / 或る女
初秋の風が芭蕉の葉を動かして、素肌に吹きつけた帰りに、読みかけた手紙を庭の方へなびかしたから、しまいぎわには四尺あまりの半切れ(=手紙用の横長の和紙)がさらりさらりと鳴って、手を放すと、向こうの生垣まで飛んで行きそうだ。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
風は湿気を帯びて、夜の植物の匂い、ひっそりと呼吸する夜の植物の匂いを運んでくる
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
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