毒にも薬にもならないテレビでも見て

（ビリー・ワイルダー監督、お熱い夜をあなたに）画面の層が厚く、一つ一つのショットが、すべて映画の〔本道〕にのっている。いまどきの、大きな画面がやたらにゆれたり、クローズ・アップの濫用によって見物をやたらに混乱させる生理的な不快感がまったくないので、二時間半の長尺がいささかも疲れぬ。ユーモアとペイソスと、それよりも大きな主題が丹念に、流麗に積重ねられた一齣一齣から生れ、波紋のようなひろがりを見せて来る

画面奥からの強い光源

（ＴＶは）部屋のＢＧＭとして流れていた。

（活動写真）最初「実写」だった。宮城、松島、江ノ島、京都……が、ガタピシャガタピシャと写って行った。時々切れた。急に写真が二、三枚ダブって、目まいでもしたように入り乱れたかと思うと、瞬間消えて、パッと白い幕になった。 　それから西洋物と日本物をやった。どれも写真はキズが入っていて、ひどく「雨が降った」それに所々切れているのを接合させたらしく、人の動きがギクシャクした。

森に囲まれた音楽堂からは木の葉を震わす大音響でロックが聞こえてくる

実話には骨があるが、詩には肉しかない。

前借をみんなアッパッパにしてしまった

ボクシングを映し出す画面は大きく、飛び散る汗がこちらにかかるような錯覚を受けるほど、臨場感がある。

以前、鉄道マニアが乗務員の恰好をして、列車に乗っていたというニュースを聞いたことがある。《…略…》マニアというのは、向上心、向学心が旺盛なんだろう。どんな人間でも、たっぷり知識を詰め込んだ後は、実践に移りたくなるものだ