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聴いていないつもり、耳に入っていないつもりでも、思わず顔を上げる。和音のピアノはそういうピアノだ。ごく自然にたった一音弾いただけで、よろこびも悲しみも表現することができる。派手じゃなくて、静かで、でも粒子が細かいから胸にすっと沁みてくる。そこで消えずに、いつまでも胸に残る。そうして、胸の内側のどこかをコンコンとノックしてくるのだ。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 ページ位置:98% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......くて、うっかりすると涙が出そうなくらい素直に胸に響く。 大きくうなずいて答える。「和音さんは絶対にいいピアニストになります」 音楽を知らなくても惹かれてしまう。聴いていないつもり、耳に入っていないつもりでも、思わず顔を上げる。和音のピアノはそういうピアノだ。ごく自然にたった一音弾いただけで、よろこびも悲しみも表現することができる。派手じゃなくて、静かで、でも粒子が細かいから胸にすっと沁みてくる。そこで消えずに、いつまでも胸に残る。そうして、胸の内側のどこかをコンコンとノックしてくるのだ。 和音の奏でる音楽が、目の前に風景を連れてくる。朝露に濡れた木々の間から光が差す。葉っぱの先で水の玉が光って零れる。何度も繰り返す、朝。生まれたての瑞々しさと、......
単語の意味
胸(むね)
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(ピアノ)低音は重いハンマーで叩くように、高音は猫の足が歩くように、音と音とが絡み合いもつれあう
五木 寛之 / 海を見ていたジョニー amazon
一台のピアノのフタをとると、歯のようなキイのうえをあたかも平四郎を脅かすふうに弾いてみせた。
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
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正真正銘のお辞儀をしている。 ゆっくりとした田中の仕草は、非常に礼儀正しくて、姿勢こそ歪んではいたが、それは小さな感動すら呼び起こすような、美しい礼だった。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
ずるずると派手な音をたててコーヒーをすすった。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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二組が歌うのは「ひとつの朝」。去年の三年生も歌っていたから耳にしたことがある。緩やかに始まってだんだん力強くなっていく合唱らしい壮大な曲だ。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
おもちゃ箱を引っくりかえしたような賑わい
林 芙美子 / ボルネオダイヤ「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
とにかく耳は素晴しく鋭敏に世界中の物音を聞き分けていた。まるで世界が一枚のヴェールを脱ぎ捨てたように感じられた。何キロも遠くで夜の鳥が鳴き、何キロも遠くで人々は窓を閉め、何キロも遠くで人々は愛を語っていた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
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