馬の優しそうな目

馬のたてがみのざらざらした手ざわりが棕梠（しゅろ）の毛のように手にまといつく

しっぽに火がついたみたいに馬が駈け出す

馬は、尾と鬣（たてがみ）とを、長く風になびかせながら、ひづめに火花を散らして、まっしぐらに狂奔する。

まるで毛皮のズボンをはいたような逞ましい輓馬（ばんば）

動物とか子どもとか、予測のつかない動きをする生き物

（ウサギの毛の感触は）かつて触れたことのあるどんな種類のものとも、異なる手触りを持っていた。うっとりするぐらい滑らかでありながら、一本一本の毛にはどこか鋭い気配が潜み、指先が沈んでゆくのかと錯覚するほど奥が深い。一撫でするごとに斑の形が変化し、毛を押し開いた時現れる未熟な皮膚には、薄桃色の中身が透けている。

猟犬のような犬が、人間のようにじっとこちらをながめていた。

わずかに午（ご）を過ぎたる太陽は、透明なる光線を彼の皮膚の上に抛（な）げかけて、きらきらする柔毛（にこげ）の間より眼に見えぬ炎でも燃（も）え出（い）ずるように思われた。

（蛭）濁った黒い滑らかな肌に茶褐色の縞をもった、疣（いぼ）胡瓜のような血を取る動物、こいつは蛭じゃよ。