絵島丸は、泣きわめく遺族に取り囲まれたうつろな死骸 のように、がらんと静まり返って、騒々しい桟橋の雑鬧 の間にさびしく横たわっている。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:89% 作品を確認(青空文庫)
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船・ボート
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前後の文章を含んだ引用
......の中に立ち迷うばかりで、その奥には事務長の打ち勝ちがたい暗い力が、魔王のように小動 ぎもせずうずくまっているのみだった。 荷役の目まぐるしい騒ぎが二日続いたあとの絵島丸は、泣きわめく遺族に取り囲まれたうつろな死骸 のように、がらんと静まり返って、騒々しい桟橋の雑鬧 の間にさびしく横たわっている。 水夫が、輪切りにした椰子 の実でよごれた甲板 を単調にごし/\ごし/\とこする音が、時というものをゆるゆるすり減らすやすりのように日がな日ねもす聞こえていた。 葉......
単語の意味
虚ろ・空ろ・洞ろ(うつろ)
虚ろ・空ろ・洞ろ・・・1.空洞(くうどう)。空っぽ。中身が何もないこと。
2.心が空っぽになり、生気がないさま。表情がボーっとして気持ちがないさま。
2.心が空っぽになり、生気がないさま。表情がボーっとして気持ちがないさま。
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ひっそりと佇むの表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
普門寺は日だまりに転び寝したような閑寂さの中に古りさびていた。
石川 達三 / 日蔭の村 amazon
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巨大な斧の断面のような船腹
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
安治川の一角から扇状の光が進んできた。《…略…》何 隻 かのポンポン船は、河畔のしじまを裂いて川を上っていく。《…略…》ポンポン船の投光器が川面に放つ光線は、舟の家をくっきりと浮きあがらせて、やがて遠ざかっていった。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
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着岸するの表現・描写・類語(乗り物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
舟が軋み、底に何かがぶつかったような感じがした時、もう、トモギに戻ったのかと驚いたほどでした。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
やがて船底にじゃりじゃりと砂の触れる音が伝わった。船は滞りなく君が生まれ君が育てられたその土の上に引き上げられた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
舟の舳はザリザリと音をさせて砂地へ着いた。
志賀 直哉 / 焚火「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 amazon
陸地に近づくと大きな蝶が二つ海の上を渡って来る。
岡本かの子 / 河明り
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「乗り物」カテゴリからランダム5
古風な機関車が真白な煙りを吐いて止まっている。それは葱(ねぎ)をふみながらきき耳立てた雄(お)ん鶏(どり)に似ている。
永井 龍男 / 絵本「朝霧・青電車その他 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
一見するとアパート風の建物のようで船とも見えなかった。
牧野 信一 / 淡雪 amazon
「音の響き」カテゴリからランダム5
樹々の葉のすれあう音
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
太鼓の音が殷々 と轟 く。
岡本かの子 / 河明り
北の方の空を遠雷のような 唸りを伴った砲声が渡り始めていた。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
「家・建物」カテゴリからランダム5
煙突がついていて、小さなポーチがある、窓にはギンガム・チェックのカーテンがかかっている。要するにけっこうフレンドリーな外観。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
ちまちまとしたペンションのようなカラフルな家
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
夜店が賑 やかだ。
林芙美子 / 新版 放浪記
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