遠い間合いから左足の蹴りを放つ

小気味よいキックの炸裂音

サッカーボールみたいに扱う

襟首を掴んで膝蹴りを何発も叩き込む

斧を斜め上から叩き込むような、そんな蹴りだ。

（殴られる）目の前で大きな火花が散った。　新幹線の電気系統が故障したのだ、と最初は思った。見当外れだった。木村個人の神経の信号が瞬間的に切れ、視界が暗くなったのだ。

台地と水平に鎌で弧を描き草を刈る

一突きにおれの胸へ刺（さ）した。何か腥（なまぐさ）い塊（かたまり）がおれの口へこみ上げて来る。が、苦しみは少しもない。ただ胸が冷たくなると、一層あたりがしんとしてしまった。ああ、何と云う静かさだろう。この山陰（やまかげ）の藪の空には、小鳥一羽囀（さえず）りに来ない。ただ杉や竹の杪（うら）に、寂しい日影が漂（ただよ）っている。日影が、――それも次第に薄れて来る。――もう杉や竹も見えない。おれはそこに倒れたまま、深い静かさに包まれている。

真野の顔面に拳がめり込み、体ごと背後のテーブルに派手に吹っ飛んだ。

杉箸で河豚の腹をかんから太鼓のようにたたいて