窓にはこんなふうに向こうが見えないくらいに水滴がいっぱいついてた。その向こうに線路 脇 のフェンスの緑の金網があって、さらにその向こうにやっと、桜の桃色があった。いちめんに。ぼやけた2重のフィルターを通して初めて気づいた。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 ページ位置:26% 作品を確認(amazon)
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ぼんやり見える
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......。「初めて日本に来たときの春は雨ばっかりで、ちっともいいところだと思えず憂鬱だった。でも1回だけ、雨の日タクシーの中から、桜を見て感激したんだ。空は曇っていて、窓にはこんなふうに向こうが見えないくらいに水滴がいっぱいついてた。その向こうに線路脇のフェンスの緑の金網があって、さらにその向こうにやっと、桜の桃色があった。いちめんに。ぼやけた2重のフィルターを通して初めて気づいた。春、そこいら中に狂ったように桜が咲き乱れてる日本という国の神秘に。」「いいはなし。」「今もどこかなじめない。でも、ボストンにいたとき、帰りたかった。」「そう。」......
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分らない――朦朧 と靄 でも隔てて見るように
吉川英治 / 無宿人国記
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二人きりになるための画策は、どちらも未練を残しつつ諦めていた。 その分ただ、相手の眼差しに、何か抱擁の代わりになるものを──その埋め合わせとしての熱と潤いを求めていた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
見ていられないという風に、顔をそむける
小林多喜二 / 蟹工船
目は知らず知らず熟視のためにかがやいた。
有島武郎 / 或る女
おふくろは地蔵のようにいつまでも見送っていた。
浅田次郎 / ろくでなしのサンタ「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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